OpenAI、判断専用API

OpenAI、判断専用API

OpenAIは2026年10月6日、文章を書かずに「判断」だけを返す開発者向けの仕組み「Decisions API」をパブリックベータ(誰でも試せる試験版)で公開しました。「この問い合わせは請求の話か、不具合の話か」「この不具合の深刻度は何段階目か」といった問いに、文章ではなく決まった形の答えで返します。9月に話題になった「Jev」と同じ方向の動きです。何ができるのかを整理します。

【出典元】Decisions API(OpenAI Developers)

文章を書かず判断だけを返すAPI

APIとは、ほかのソフトからAIを呼び出すための窓口です。ChatGPTのように人が読む文章で答えるのではなく、アプリが直接扱える形の答えを返します。

Decisions APIは、テキストや画像を読み取って、決まった型の答えだけを返します。使えるモデルは、OpenAIの「gpt-6-luna」のみです。OpenAIは、Responses API(文章などを生成する従来の窓口)より約10倍速いと説明しています。

これまでは、AIに文章で答えさせ、その文章から分類結果を取り出す作り方が一般的でした。この仕組みなら、その手間を省けます。

答えは3つの型で返ってくる

聞き方は、次の3種類から選びます。

型聞くこと返ってくる値
Predicateある条件に当てはまるか当てはまる確率(0〜1)
Choice用意した選択肢のどれか選ばれた1つと、各選択肢の確率、確信度
Score段階評価で何段階目か点数(段階の間の値になることもある)

公式ドキュメントには、具体例も載っています。商品写真に「亀裂や破れがあるか」と聞くと、「0.92」のような確率が返ります。不具合の報告を「見た目だけ・回避策あり・完全に止まる」の3段階で評価する例では、確率が0.1、0.7、0.2のときに点数は1.1になります。

問い合わせの仕分けに向いている

公式が挙げる使い道は、問い合わせの部署への振り分け、不具合の重大度の判定、商品写真の破損チェックなどです。たとえば、次のような流れが考えられます。

  1. 「注文が二重に請求されました」というメッセージを受け取る
  2. 「請求」「技術」「配送」「その他」の4択で、Choiceの型で聞く
  3. 「請求」という答えと、確率、確信度が返ってくる
  4. 確信度が低いものは「その他」として、人が確認する列に回す

最後の手順は、公式も推奨しています。当てはまらないものは人の確認に回す逃げ道を作っておくのが基本です。AIが迷ったときだけ人が見る形にすれば、確認の手間を減らせます。

9月のJevとOpenAIの違い

9月15日に、元OpenAI研究者が立ち上げたTypeSafe AIが「Jev」を公開しました。こちらも文章を書かず、判断だけを返すモデルです。2つを並べると、方向は近いものの、立ち位置が違います。

項目JevDecisions API
提供元TypeSafe AI(新興企業)OpenAI
提供状況限定的な早期アクセスパブリックベータ
聞ける型Choice・Score・Noul(確率)Predicate・Choice・Score
入力料金(100万トークン)0.042ドル0.10ドル
使うモデル判断専用に作られたモデルgpt-6-luna

聞ける型は、名前こそ違いますが、確率・選択肢・段階評価という3つの考え方は共通です。新興企業と大手の両方が同じ形の道具を出したことは、「AIに文章を書かせず、判断だけを任せる」使い方が実用の段階に入ったことを示しています。

料金は入力だけで0.10ドル

料金は、入力100万トークン(文字を数える単位)あたり0.10ドルです。出力には課金されません。文章を書かないため、出力の料金がかからない設計です。

注意したいのは、速さの数字です。「約10倍速い」という説明の根拠になる測定条件や比較結果は、公式ページに載っていません。10倍という数字は、自社の用途で試して確かめる必要があります。

使う前に確かめたい注意点

試験版であることを含め、次の点を押さえておく必要があります。

  • 正式版は数週間以内の予定:今はパブリックベータで、対応モデルもgpt-6-lunaだけです
  • 画像は、データそのものを埋め込む形でしか渡せません(画像のURLやファイルIDは使えません)
  • 前の答えに基づいて次を判断したいときは、リクエストを2回に分ける必要があります
  • 確率を使うため、どの値以上で自動処理にするかの基準は、正解つきのデータで調整することが推奨されています
  • 公式ページに公開日の記載はなく、10月6日という日付は報道によるものです

重要な判断を無条件に自動化できるわけではありません。まずは、間違えても影響の小さい仕分けから試すのが無難です。

まとめ

Decisions APIは、文章を書かず、確率・選択肢・点数で判断だけを返すOpenAIの新しい窓口です。問い合わせの仕分けのような、答えの形が決まっている作業に向いています。9月のJevに続く動きで、AIの使い方が「文章を書かせる」から「判断を任せる」へ広がっています。速さの根拠は未公表なので、導入を考える場合は、まず小さな業務で正確さと速さを自分で確かめてください。

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