Honda、社内AI人材を認定
Hondaは、社内の生成AIに詳しい社員を正式に認定する「Gen-AI Expert System」という制度を運用しています。2024年6月にスタートしたこの制度では、通常業務を続けながら会社指定の生成AIプロジェクトに携わる社員を3段階のレベルで認定し、給与に手当を上乗せする仕組みです。大企業が社内のAI人材をどう見える化し、活用しているのかが分かる事例です。
【出典元】Honda 採用サイト「Gen-AI Expert System」紹介記事
制度の全体像
まず、Gen-AI Expert Systemの概要を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2024年6月 |
| 認定者数 | 約100名(2024年12月時点) |
| 認定レベル | 3段階 |
| 特典 | レベルに応じた給与手当 |
| 進行中のプロジェクト数 | 約40件 |
| 対象部署 | 開発・生産・営業・人事など全社横断 |
| 母体コミュニティ「Borders」の参加者数 | 2,400名以上 |
| 社内評価 | 社長賞を受賞 |
きっかけは社内ITコミュニティ
この制度は、Hondaのデジタル戦略部門に所属する佐野雄基氏の提案から生まれました。佐野氏はもともと、社内向けのITコミュニティ「Borders」を立ち上げた人物です。部署の壁を越えてIT・AIに関心を持つ社員がつながる場として広がり、現在では2,400名以上が参加する規模になっています。
Hondaのような階層型の組織では、部署を超えた協働が生まれにくいという課題がありました。Bordersはこの壁を崩す役割を果たし、そこから生まれたのがGen-AI Expert Systemです。
3段階のレベルで社員を認定
Gen-AI Expert Systemでは、生成AIに関する知見や実務経験に応じて、社員を3段階のスキルレベルで認定します。認定された社員は、現在の役職や業務を続けながら、会社が指定する生成AIプロジェクトに参加できるようになり、レベルに応じた給与手当も支給されます。
単に研修を受けさせるだけでなく、実務プロジェクトへの参加権と金銭的なインセンティブをセットにしている点が、この制度の特徴です。スキルレベルは3段階に分かれており、レベルが上がるほど手当も手厚くなる仕組みです。2024年12月時点で、約100名の社員がこの認定を取得しています。
約40件のプロジェクトが進行中
認定された社員が関わるプロジェクトは、開発・生産・営業・人事など幅広い部署にまたがっており、現在約40件が進行しています。内容も、社内データベースにアクセスして情報を検索・分析するAIエージェントの開発から、製品の設計を効率化する最適化システムまで多岐にわたります。
特定の部署だけでなく会社全体でAI活用の裾野を広げている点は、生成AIを一部門の取り組みで終わらせず、全社的な力に変えようとする姿勢の表れといえます。
社長賞を受賞、組織の壁を越える動きに
Gen-AI Expert Systemの取り組みは、Honda社内で社長賞を受賞しています。階層的な組織構造の中では生まれにくかった部署横断の協働が、この制度を通じて実現している点が評価されたとみられます。
提案者の佐野氏は、技術を深く追求していくと「人間がいかにすごい存在か」が見えてくると語っています。技術の探求が最終的に人間そのものへの理解につながるという考え方は、Hondaが掲げる企業理念にも通じるものです。
まとめ
Hondaの事例は、生成AIを使いこなせる人材を社内でどう発掘し、正式な仕組みとして評価するかを示すモデルケースです。認定制度と給与手当を組み合わせることで、社員が自発的にAIスキルを磨くきっかけを作り、部署の垣根を越えたプロジェクトを生み出しています。大企業が生成AI人材の育成に取り組む際の、具体的な参考事例といえます。