更なる進化を遂げた純国産LLM「tsuzumi 2」提供開始 NTTが企業DXを加速へ

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NTT株式会社は2025年10月20日、純国産の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi 2」の提供を開始したと発表した。
軽量でありながら高い日本語処理性能を実現し、電力消費や運用コストを抑えつつ、企業や自治体のAI活用を支援する狙いだ。NTTは本モデルを通じて、国内のDX推進と安全なAI導入環境の拡大を目指す。

■「tsuzumi 2」5つの特徴

  1. 純国産LLM
     NTTが独自開発した日本語特化の大規模言語モデル。安全性と信頼性が高い。
  2. 軽量・高性能
     1GPUで動作可能。小規模でも世界トップクラスの日本語理解力を実現。
  3. 低コスト・省電力
     電力消費と運用コストを抑え、企業の導入負担を軽減。
  4. 業界特化対応
     RAGとFine Tuningで金融・医療・公共など専門分野に最適化できる。
  5. 導入実績拡大中
     東京通信大学や富士フイルムビジネスイノベーションなどが採用・連携を開始。

【出典元】更なる進化を遂げたNTT版LLM tsuzumi 2の提供開始~日本の企業DXを支える高性能・高セキュア・低コストな純国産LLM~

世界トップクラスの日本語性能と軽量設計を両立

tsuzumi 2は、NTTが2023年に発表した初代モデル「tsuzumi」を進化させた次世代LLM。ChatGPTなど海外製モデルが注目を集める中で、電力消費やデータセキュリティへの懸念が高まる現状に対応する形で開発された。

新モデルでは、日本語処理に特化した学習を強化し、同サイズ帯のモデルとして世界トップクラスの日本語性能を達成。知識・解析・指示遂行・安全性といった業務に直結する性能面で、数倍大きな海外製フラッグシップモデルに匹敵するという。
それでいて、1GPUでの推論が可能な軽量設計を維持し、電力・コスト面の負担を大幅に軽減している。

金融・医療・公共分野など業界特化にも対応

tsuzumi 2では、RAG(検索拡張生成)とFine Tuning(特化学習)を活用し、業界別のニーズに即したカスタマイズが容易になった。特に、金融・医療・公共分野の知識強化が図られており、専門用語や制度など複雑な文書の理解力が向上している。

NTT社内で実施した財務システムへの問い合わせ業務では、tsuzumi 2が他社先進モデルと同等以上の性能を発揮。実務での精度と安定性が確認されたという。

東京通信大学や富士フイルムとの連携も始動

導入事例として、東京通信大学がtsuzumi 2の採用を決定。クラウド依存のない環境で、学生・教職員のデータを安全に扱いながら、授業Q&Aの自動化や教材作成、進路相談支援などに活用する。

また、NTTドコモビジネス富士フイルムビジネスイノベーションは、tsuzumi 2と富士フイルムのAIブランド「REiLI」を組み合わせた新たなAIソリューションを共同開発中。企業内の契約書や提案書、画像データなどの非構造化情報を構造化・分析し、知識活用を高度化することを目指す。

NTTグループ全体で展開へ、次は「AIが議論する時代」へ

NTTは、tsuzumi 2をグループ全体のAIソリューションの中核に位置づけ、各社での導入や新サービス開発を進める方針だ。今後は、サイバーセキュリティ分野や、複数のAIが連携し議論・判断を行う「AIコンステレーション」の開発にも注力する。

最新モデルの実力は、11月19日から開催されるNTT R&Dフォーラム2025(IOWN Quantum Leap)で披露される予定。NTTは「tsuzumi 2」を通じて、安全で効率的な国産AIの普及を加速させ、日本企業の生産性向上に貢献していく構えだ。

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