医師の63%がAIを活用
米国の医師向けSNS「Doximity」が2026年3月に公開した「State of AI in Medicine Report 2026」によると、米国医師の63%がすでにAIを業務に活用しており、1年前(47%)から大幅に増加しています。
94%が「使っているか使いたい」と回答し、医療現場でのAI普及が加速していることが明らかになりました。一方で、71%の医師が精度・信頼性を懸念として挙げており、普及と不安が並走している状況です。
【出典元】State of AI in Medicine Report 2026 | Doximity
1年で急拡大した利用率
今回の調査は米国の15診療科・3,151名の医師を対象に、2025年3〜4月と2025年11月〜2026年1月の2時点で実施されました。
| 指標 | 2025年春 | 2025年末〜2026年初 |
|---|---|---|
| AI利用中の医師 | 47% | 63% |
| 毎日AI使用 | — | 37% |
| 文献検索でAI使用 | 22% | 35% |
| 音声カルテでAI使用 | 20% | 29% |
わずか1年で利用率が16ポイント上昇しており、医療現場へのAI浸透が急速に進んでいることを示しています。
主な用途は文献検索と音声カルテ
医師がAIを使う場面として最も多かったのは「文献検索」(35%)で、次いで「音声によるカルテ入力・アンビエントリスニング」(29%)でした。
音声カルテとは、診察中の会話をAIがリアルタイムで聞き取り、自動でカルテに記録するシステムです。医師が診察後に記録作業に費やす時間(「パジャマタイム」と呼ばれる退勤後の事務作業)を大幅に削減できるとして注目されています。
調査対象の90%の医師が「AIにはパジャマタイムを減らす可能性がある」と回答し、23%は「すでに減っている」と答えています。
75%が業務負担の軽減を実感
AIを実際に使っている医師のうち、75%が「業務負担が減り、仕事への満足感が上がった」と回答しました。また69%が「患者ケアの質や治療成績の改善に貢献している」と評価しています。
診療科別では、神経内科が最もAI利用率が高く(64%)、消化器内科(61%)、内科(60%)が続いています。
71%が「精度・信頼性」を懸念
急速に普及が進む一方で、医師の71%が「AIの正確性と信頼性」を最大の懸念として挙げています。「AIが誤った情報を自信満々に提示する(ハルシネーション)」リスクへの警戒感は根強く、特に診断や処方への直接的な活用には慎重な姿勢が続いています。
まとめ
米国医師のAI活用は1年で急加速し、業務の効率化・バーンアウト軽減への貢献が実感されつつあります。文献検索・音声カルテ・管理業務の自動化という「補助的な活用」から普及が進んでいるのが現状です。
一方で信頼性への懸念が広く残っており、「AIを道具として使いこなす医師」と「AIを診断の根拠とする医師」の間で、活用の線引きをどこに引くかが今後の課題となっています。