Perplexity、AIブラウザ「Comet」を無料開放 6つの特徴を解説

AI検索サービスを手がけるPerplexityが開発した次世代ブラウザ「Comet」が、ついに全ユーザー向けに無料開放されました。これまで有料プランや限定的な招待制でしか使えなかった「AIと共にブラウジングする体験」が、誰にでも開かれたことで注目を集めています。
◆料金・プラン比較表
項目 | Free | Pro | Max |
---|---|---|---|
価格 | 無料 | 公開プラン | $200/月(参考) |
レート制限 | あり | 緩和 | 大幅緩和 |
Comet Plus(ニュース) | $5/月で追加 | 同梱 | 同梱 |
上位機能(例) | – | 一部優遇 | Email Assistant等 |
想定ユーザー | 初めて試す人 | 日常的に使う人 | 重度ユーザーや業務利用者 |
【参照元】
・Perplexity公式サイト「Comet」紹介ページ
・Tom’s Hardware「Perplexity’s AI-powered Comet browser leaves users vulnerable to phishing scams and malicious code injection — Brave and Guardio’s security audits call out paid AI browser」
・The Verge「Perplexity’s Comet browser is now available to everyone for free」
Comet無料化の背景とポイント
Cometはリリース当初、月額200ドルの「Max」プラン限定で提供されていました。その後、Proや招待ユーザーに拡大し、2025年10月にすべてのユーザーが利用可能な無料版が登場しました。
- 無料で利用可能に:登録すれば誰でも使える
- レート制限あり:無料版は使用量に上限あり
- 有料アドオン「Comet Plus」:月額5ドルでニュース購読、収益の8割は出版社に還元
- 対応環境:WindowsとMac
Perplexityは「Cometを永続的に無料で提供していく」と宣言しており、同時に収益モデルをComet Plusなどの有料プランに分散させることで維持を図る戦略です。
Cometの6つの特徴と機能
「Comet」は単なるブラウザではなく、AIを標準搭載した“AIネイティブブラウザ”です。Google Chromeのように拡張機能やブックマークを利用できる一方で、ブラウジングのあらゆる場面にAIが組み込まれています。
主な6つの特徴
- AIによる検索と要約 ― 調べものの時間を劇的に短縮
- タスク実行サポート ― 「クリック」や「入力」もAIにお任せ
- Chromiumベースの高い互換性 ― 移行の壁が低い
- AIと連携したブラウジング ― “受け身”から“対話型”へ
- 安全性とプライバシー ― 高機能ゆえのリスク
- 他ブラウザとの差別化
1. AIによる検索と要約 ― 調べものの時間を劇的に短縮
従来の検索エンジンはリンク一覧を表示するだけでしたが、Cometは複数の情報源を横断して答えをまとめることができます。
- 長文記事を数秒で要約
- 複数サイトの共通点・相違点を整理
- グラフや表形式で結果を表示することも可能
例えば「生成AIの最新ニュース」を調べる場合、10本の記事を開かずとも、Cometが要点を整理して提示してくれるため、リサーチの効率が格段に上がります。
2. タスク実行サポート ― 「クリック」や「入力」もAIにお任せ
Cometは単に情報を表示するだけでなく、操作自体をアシストします。
- 入力フォームに必要情報を補完
- ECサイトで商品の比較表を自動生成
- 旅行予約サイトで「条件に合うホテル」を一覧化
将来的には「バックグラウンドアシスタント」が実装され、ユーザーがブラウザを閉じてもAIが調査や整理を続けてくれると報じられています。つまり、Cometは“情報収集だけでなく行動まで代行する”ブラウザを目指しているのです。
3. Chromiumベースの高い互換性 ― 移行の壁が低い
CometはGoogle Chromeと同じ基盤であるChromiumを利用しています。
- Chromeの拡張機能をそのままインストール可能
- ブックマークや履歴の移行もスムーズ
- UIもChromeに近いため、違和感なく利用できる
つまり「Chromeからの移行」がほぼストレスなく行えるため、新しいブラウザを試すことに抵抗が少ないのも大きな利点です。
4. AIと連携したブラウジング ― “受け身”から“対話型”へ
Cometは従来の「検索して探す」スタイルから、「質問して対話する」スタイルへの転換を促します。
- 「この論文の要点をまとめて」
- 「この商品レビューの不満点を抽出して」
- 「他サイトの同条件商品と比較して」
従来ならユーザーがタブを往復して手作業で行っていたことを、AIが会話形式で即座に処理してくれるのが強みです。
5. 安全性とプライバシー ― 高機能ゆえのリスク
利便性の裏にはリスクもあります。外部のセキュリティ監査では以下のような脆弱性が指摘されています。
- 要約機能を悪用した悪性スクリプト注入のリスク
- 偽サイトやフィッシングに誘導されやすい構造
- AIがユーザーの判断を“代行しすぎる”ことによる危険
一方で、Perplexityはデータ保存をローカル優先にし、利用データは管理・削除可能としています。権限の取り消しも柔軟にできる設計で、プライバシーへの配慮も強化されています。
6. 他ブラウザとの差別
- Chrome:高速・拡張豊富だが、AIは外付けアドオンが必要
- Arc:整理されたUIとAIサポートを搭載、ただし英語圏中心
- Brave:広告ブロックやプライバシー重視、AI検索も導入済み
- Comet:AIをブラウジングの“標準機能”として搭載し、操作補助まで踏み込む点でユニーク
つまりCometは「AIを組み込んだ検索ブラウザ」ではなく、ブラウジングの中心そのものをAIが担う最初の事例と言えるでしょう。
日本語利用時の注意点

Cometは英語圏を中心に開発されているため、日本語での利用では文章が不自然になることがあります。
- 長文の要約が直訳調になる
- 接続詞や語尾がぎこちない
- 日本語の曖昧な指示が誤解されやすい
これは大規模言語モデルの学習データが英語中心であるために起こる現象です。
改善策
- 指示を短文・箇条書きで出す
- 日本語で伝わりにくい場合は英語を併用する
- 生成結果に「自然な日本語に整えて」と追加リクエストする
こうした工夫をすることで、日本語でもより自然で実用的な出力が得られるようになります。
実際に使ってみた感想

早速、Aibrary編集部の筆者も実際にCometを試してみました!まだ、使い始めなのでCometの本領を感じられるほど使っておりませんが、従来の検索のようにキーワードを並べるような検索ではなく、質問をそのまま投げかける便利さはAIならではだと思います。
個人的には、上記スクショのように従来の検索結果画面+AI要約が見れるのはおもしろいなと思いました。
活用シーンと注意点
活用に向くシーン
- 情報収集・研究:複数記事を横断して要点を整理
- 旅行や予約:条件指定によるホテル・サービス比較
- 資料作成:長文を要約→箇条書き→図表化で効率アップ
注意が必要なシーン
- 金融取引やアカウント管理:誤操作や誘導のリスクがあるため人間の確認が不可欠
- 購入や契約:AI任せにせず、必ず公式URLを自分でもチェック
Cometはどんな人に向いているか?
- おすすめ:日常的に大量の情報を扱う人、比較検討が多い職種、タブを多く開きがちなユーザー
- 慎重に導入すべき人:金融関連や重要システムを扱うユーザー(AIによる自動操作はまだリスクが高い)
まとめ
AIブラウザ「Comet」の無料開放は、「AIと共にブラウジングする体験」が一般化する転換点となりました。情報収集や作業効率化において大きな可能性を秘める一方で、セキュリティ上の課題や持続可能な運営モデルという現実的な壁もあります。
今はまず「調査・要約・比較」といった低リスクの用途から使い始め、重要な操作は必ず人間が最終確認を行うことが賢明です。
Cometは便利さとリスクが隣り合わせのツールですが、適切に使いこなせば“次世代の標準ブラウザ”になり得る存在と言えるでしょう。