日本政府、OpenAIに「著作権侵害行為を行わないよう要請」　Sora2の“アニメ似動画”で懸念広がる

【画像】Aibrary公式Pinterestより

生成AIの急速な進化に警鐘を鳴らす動きが日本政府でも強まっている。内閣府の知的財産戦略推進事務局は、米OpenAIに対し「著作権を侵害する行為を行わないよう要請した」と発表した。
要請のきっかけとなったのは、同社が発表した動画生成AI「Sora2」が、日本のアニメ作品に酷似した映像を生成しているとの指摘が相次いだことだ。

政府の要請内容と経緯

城内実知的財産担当大臣は10月10日の閣議後記者会見で、「アニメや漫画は日本が世界に誇る文化であり、創作者の権利を守るための対応を取った」と説明。OpenAIには、オンライン会議を通じて「権利者の懸念に対応し、著作権侵害行為を避けるよう求めた」と明かした。

◆主な経緯

Sora2が生んだ“アニメそっくり動画”の波紋

Sora2は、テキスト指示から高品質な動画を自動生成できるAIで、公開直後から「アニメそっくりの映像が作れる」と話題になった。一方で、ネット上には人気作品に酷似したキャラクターや演出の動画も投稿され、権利者やファンの間で懸念が広がった。

特に問題視されたのは、Sora2が「オプトアウト方式」を採用している点だ。これは、権利者が「自分の作品を使わないでほしい」と申し出をしない限り、AIの学習や生成に利用される可能性がある仕組みだ。
この設計について、専門家からは「クリエイターが一人ひとり異議を申し立てるのは現実的でない」との指摘も出ている。

政府の狙いと課題

日本政府は、生成AI技術の発展を否定しているわけではない。むしろ、「技術の進歩と権利保護の両立」を目指す姿勢を強調している。
一方で、AIによる著作権侵害の判断は非常に難しく、今後の法整備が求められている。

◆今回の要請の背景と今後の課題

OpenAI側の対応と今後の展望

OpenAIのサム・アルトマンCEOは、要請後の声明で「クリエイターや権利者の意見を尊重し、改善に努める」とコメント。Sora2の運用ルールや利用規約を見直す方針を示したと報じられている。
政府関係者は、「対立ではなく対話によって解決を目指したい」としており、AI企業との協議は今後も継続する見通しだ。

まとめ

今回の政府の要請は、生成AI時代における「著作権のあり方」を問う象徴的な出来事となった。
AIが作るコンテンツが増える中で、創作者の権利をどう守るのか。日本の文化を支えるクリエイターの立場を尊重しながら、技術革新とのバランスを取るルールづくりが急務となっている。