IoTとAIでオイル配送を革新。FUKUDAが業務効率化を実現

潤滑油の総合卸売を手がける株式会社FUKUDA(本社:京都市山科区)は、IoTセンサーとAIを活用した液体配送システム「F.O.M.S(FUKUDA Oil Management System)」を開発し、オイル配送の効率化と環境負荷の軽減を実現しました。これまでの重労働やコスト増といった課題を解消し、さらに他社への提供も進めています。
【参照】
https://www.kankeiren.or.jp/iot/list.html
https://www.kankeiren.or.jp/iot/pdf/iot78.pdf
◼︎背景:重労働とコスト増に直面
自動車整備工場などへのオイル配送は、従来ドラム缶やペール缶に入れて運搬していました。しかしこの方法は重量負担が大きく、従業員にとって重労働となっていました。また、オイル補充のたびに空き缶が発生し、廃棄処理の負担も増えていました。
さらに、顧客先のタンク残量を確認するため定期的に訪問する必要があり、移動コストや労力がかさんでいたのです。
◼︎IoT×AIによる解決策
こうした課題に対し、FUKUDAはIoTセンサーを内蔵した独自の通信機器を開発しました。顧客タンクに取り付けるだけでオイル残量を自動検知し、セルラー通信を通じてクラウドへデータを送信します。さらにAI分析を加えることで、消費傾向や需要予測を可視化し、最適なタイミングで補充が行える仕組みを実現しました。
この仕組みにより、従来必要だった定期点検が不要となり、顧客対応は必要なときだけに絞ることが可能になりました。
◼︎成果:効率化と環境負荷削減
導入の効果は大きく、作業効率が大幅に改善しました。オイル缶の利用をやめ据え置き型コンテナに切り替えたことで、廃棄物の削減にもつながっています。さらに、原油価格が高騰する中でも5〜10%の納入単価削減を実現し、顧客満足度の向上に貢献しています。
【成功のポイント】
- 据え置き型コンテナを活用し「オイルだけを配送する」仕組みを実現
- 短期間・低コストで通信内蔵センサーを自社開発
- ソラコムのIoTプラットフォームを利用し、安全かつスピーディにクラウド連携を構築
◼︎今後の展望
このシステムは自社利用にとどまらず、すでに外資系自動車メーカーでも採用されています。さらに、オイル以外の液体にも応用が進んでおり、仮設トイレの水や温泉水といった分野でも需要が生まれています。
FUKUDAは「物流の2024年問題」や環境問題への対応を見据え、CO2排出削減や廃棄物削減にも貢献できる技術として展開を拡大していく方針です。
まとめ
FUKUDAの事例は、IoTとAIを組み合わせたシステムが物流の効率化や環境負荷軽減に直結することを示しています。オイル配送というニッチな分野から始まった取り組みは、今後さまざまな液体物流に広がり、産業全体の効率化と持続可能性の実現に寄与していくことが期待されます。