Google画像生成「Nano Banana Pro」登場 日本語の文字入れ向上、広告・スライド連携可能

Google画像生成「Nano Banana Pro」登場 日本語の文字入れ向上、広告・スライド連携可能

【画像】Aibrary公式Pinterest

今回発表された「Nano Banana Pro」は、2025年夏に公開され話題となった「Nano Banana」の上位モデルであり、実質的な後継機です。
最大の特徴は、Googleの最新AIモデル「Gemini 3 Pro」の頭脳(推論能力)を画像生成に応用している点です。

従来の画像生成AIが「言葉の雰囲気からなんとなく絵を作る」のに対し、Nano Banana Proは「指示された内容を論理的に理解し、構成を考えてから描く」というプロセスを経ます。これにより、ユーザーの意図を驚くほど正確に汲み取ることが可能になりました。

利用方法:現在は、Geminiアプリ(Advancedプラン等)、Google Workspace(スライド等)、Google AI Studioを通じて順次利用可能になっています。

◆旧モデル「Nano Banana」との違い

比較項目Nano Banana (無印)Nano Banana Pro
ベースモデルGemini 2 世代 (軽量モデル)Gemini 3 Pro Image (最新)
日本語の文字描写苦手(形が崩れる、謎の文字になる)非常に得意(漢字・かなを正確に描写)
生成プロセス入力された言葉をそのまま即座に描画指示の意図を「思考」してから構成を練って描画
推論・理解力複雑な指示だと要素が抜け落ちやすい複雑なレイアウトや論理的な図解も理解可能
参照画像 (Reference)最大 3枚程度最大 14枚 (一貫性の保持が強力)
編集機能部分的な修正のみライティング、アングルなど全体の一括調整が可能
生成スピード速い (リアルタイムに近い)やや遅い (思考時間が加わるため)
主な用途アイデア出し、ラフ画、SNSアイコンポスター、資料作成、漫画制作、完成品のデザイン

【参照元】Nano Banana Proのご紹介

ここがすごい!Nano Banana Proの3つの革命的機能

これまでの画像生成AIと何が違うのか、特筆すべき3つのポイントを整理しました。

①日本語の文字も崩れない!資料作成の即戦力に

これまで、画像生成AIで作った画像の中に文字を入れると、謎の言語になったり形が崩れたりすることが一般的でした。しかし、Nano Banana Proはこの壁を突破しました。

  • 日本語対応
    正しい漢字やひらがなを、看板やメニュー、Tシャツのロゴなどに自然に描画できます。
  • 翻訳・ローカライズ
    例えば「画像内の英語の缶ラベルを、デザインはそのままに韓国語に翻訳して」といった高度な指示も可能です。
  • デザイン用途
    インフォグラフィック、飲食店のメニュー表、イベントのポスターなどが、プロンプト(指示文)だけで完成レベルまで仕上がります。

②「思考」してから描くため、指示通りの構図に

「右に犬、左に猫、背景は宇宙で、手前に赤い花を置いて」といった複雑な指示を出した際、要素が抜け落ちたり配置が適当になったりすることがありませんでしたか?

Nano Banana Proは、描き始める前に「どう配置すればユーザーの指示通りになるか」を一度思考します。そのため、要素の多い複雑な構図でも、指定された位置関係や条件を厳密に守って生成してくれます。

③複数の画像やキャラを一貫して維持

参照画像を読み込ませて新しい画像を生成する機能も大幅に強化されました。

  • 最大14枚の画像を合成
    商品写真や素材画像を違和感なく1枚の絵に融合させることができます。
  • キャラクターの一貫性
    同じ画面内に最大5人の異なるキャラクターを登場させても、それぞれの顔や服装が混ざることなく描き分けられます。

生成だけじゃない!プロレベルの編集・加工機能

Nano Banana Proは、ゼロからの生成だけでなく、既存画像の編集能力もプロ仕様に進化しています。

  • ライティングの変更
    昼の写真を夜景に変えたり、特定の方向から劇的な光を当てたりできます。
  • フォーカス制御
    一眼レフカメラのように背景をぼかしたり、特定の被写体だけにピントを合わせたり(被写界深度の調整)できます。
  • アスペクト比の変更
    画像の雰囲気を壊さずに背景を自然に拡張し、横長から正方形へ変更するなどが可能です。

リアルタイム情報や手書きメモも画像化可能

Google検索との強力な連携機能も健在です。

  • 手書きメモの清書
    ホワイトボードに書いた手書きの図やメモを撮影して読み込ませ、「これをきれいな図表(ダイアグラム)にして」と指示すれば、美しいビジネス資料として清書してくれます。
  • 最新データ
    「今日の東京の天気予報図」や「最新の株価チャート」など、検索結果に基づいた正確なグラフや図を生成します。

SNSにあがっている活用事例

こちらではXで見かけた活用事例をいくつかご紹介します。

①論文や記事などをホワイトボードに変換

②情報量の多いスライド作成(日本語)も可能

③間取り図から家のデザイン設計へ

▶︎あわせて読みたい記事
Google公式noteが紹介、Nano Bananaの多彩な使い方

Google広告・Workspaceにも即実装!ビジネス活用の詳細

今回の発表で特に注目すべき点は、単なる実験的なモデル公開ではなく、即座にGoogleのビジネスツールへ実装される点です。

①Google広告(Google Ads)がアップグレード

Google広告内の画像生成機能が、Nano Banana Proにアップグレードされました。

  • 広告主のメリット
    広告運用担当者は、管理画面内でNano Banana Proの高品質な生成・編集機能を利用できます。
  • クリエイティブ制作
    商品画像を魅力的な背景と合成したり、キャッチコピーを含んだバナー素材をその場で作成・編集したりすることが可能になり、広告制作のスピードと品質が劇的に向上します。

②Google Workspace(スライド・Vids)

仕事で使うツールにも統合が開始されました。

  • Googleスライド
    プレゼン資料に必要な図やイメージ画像を、スライド作成画面から直接生成できます。
  • Google Vids
    動画作成ツール内での素材生成にも活用可能です。

③映像クリエイター向け「Flow」

Google AI Ultraサブスクリプションユーザー向けに、AI映像制作ツール「Flow」にもNano Banana Proが展開されます。映画製作者やマーケターは、シーンやフレーム単位での精密なコントロールが可能になります。

安全性と透明性:AI製かどうかが誰でも確認可能に

AI画像の悪用を防ぐため、安全性も強化されています。

  • SynthIDチェック機能
    全ての生成画像に目に見えない電子透かし「SynthID」が埋め込まれています。Geminiアプリに画像をアップロードして質問するだけで、それがGoogleのAIで作られたものか判定できるようになりました。
  • 可視透かし
    無料版およびPro版ユーザーが生成した画像には、右下にGeminiのキラキラマーク(可視透かし)が入ります。(Ultra版や開発者向けツールでは削除されます)

まとめ:ビジネスとクリエイティブの境界線が消える

Nano Banana Proは、単に「絵が上手なAI」ではなく、「言葉を理解し、デザインとして出力できるAI」へと進化しました。特に日本語の文字生成能力とGoogle検索との連携は、日本のビジネスパーソンにとって待望の機能と言えます。

画像生成の新しいスタンダードとなる「Nano Banana Pro」。ぜひ一度、その「思考する描画力」を体験してみてください。

◆Nano Banana Proのポイントまとめ

  • 「思考」する生成
    Gemini 3 Pro搭載。指示を論理的に理解し、複雑な構図も忠実に再現。
  • 文字・翻訳が完璧
    画像内の日本語も崩れず描写。デザインを保ったままテキスト翻訳も可能。
  • ビジネスツール連携
    Google広告やGoogleスライド等に機能統合。資料・広告制作を効率化。
  • 高度な合成と一貫性
    最大14枚の画像合成、5人のキャラ描き分けに対応。
  • リアルタイム図表化
    Google検索と連携し、最新データ(株価・天気等)を正確にグラフ化。
  • プロ級の編集
    最大4K画質。生成後にライティングやピント(被写界深度)の変更が可能。
  • 安全性
    電子透かし「SynthID」を埋め込み、AI生成画像か判別可能。

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