介護・福祉分野【人手不足対策にAI・DXの活用】加速。政府が省力化投資の重要性を強調

政府が公表した経済分析資料によると、介護・福祉分野における深刻な人手不足に対応するため、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)による省力化投資の推進が喫緊の課題となっている。
特に非製造業の中小企業を中心に、人材の確保が困難な状況が続いており、政府は「待遇改善」と「省力化投資」を両輪とする対策の必要性を強調。医療・福祉分野では、従来のマンパワー頼みの体制から脱却し、AIやICT技術の導入による業務効率化が進められている。
具体的には、介護記録の自動作成や業務スケジュールの最適化、見守りセンサーやロボットの導入などが進んでおり、接客・身体介助・記録管理など多岐にわたる業務の一部を自動化する動きが広がっている。
また、図面や設計データの管理・検索の効率化にAIを活用する例もあり、施設運営の合理化にもつながっている。
政府のレポートでは、こうした省力化投資を行っている事業者は、行っていない事業者に比べて労働生産性が10%以上高いという傾向があるとされ、AIや自動化技術の活用が実効性を伴っていることを示している。
一方で、投資の普及に向けた課題も浮き彫りになっている。導入コストへの懸念や、現場職員のITスキル不足、設備投資に対する費用対効果の不透明さなどが、介護・福祉分野でのDX推進の障壁として挙げられている。
政府は今後、デジタル技術の導入を支援する補助制度や人材のリスキリング支援を通じ、現場での実装を後押しする方針だ。少子高齢化が進む中、AIとDXによる介護現場の省力化は、持続可能な福祉体制構築のカギとなる可能性がある。