Microsoft、独自AIモデル3種を公開
Microsoftは2026年4月2日、独自開発のAIモデル3種を「Microsoft Foundry」で公開しました。音声認識の「MAI-Transcribe-1」、音声生成の「MAI-Voice-1」、画像生成の「MAI-Image-2」の3種類で、テキスト・音声・画像の3つのモダリティをカバーします。
OpenAIとの提携に依存してきたMicrosoftが、自社AI技術の確立に向けて大きな一歩を踏み出した形です。
【出典元】Microsoft takes on AI rivals with three new foundational models
6ヶ月で3モデルを完成させた
今回のモデルを開発したのは、Microsoft AI CEOのMustafa Suleiman氏が率いる「MAI Superintelligence」チームです。このチームは2025年11月に設立されたばかりで、わずか6ヶ月でテキスト・音声・画像の3モダリティに対応するモデルを揃えたことになります。
Suleiman氏はMicrosoftの創業50周年記念イベント(ワシントン州レドモンド)でこのチームの成果を披露しました。設立から短期間でのリリースは、Microsoftが独自AI開発を急加速していることを示しています。
MAI Superintelligenceは、MicrosoftがOpenAIへの依存度を下げるために設けた研究チームです。長年にわたりOpenAIのモデルをAzureやCopilotなどの製品に組み込んできたMicrosoftですが、自社モデルの開発によって調達先の多様化と技術的自立を目指しています。
3モデルの機能と価格
公開された3モデルの特徴と価格は以下の通りです。
- MAI-Transcribe-1:25言語の音声をテキストに変換する音声認識モデル。MicrosoftのAzure Fastサービスと比べて2.5倍高速で、料金は$0.36/時間から。
- MAI-Voice-1:テキストから音声を生成するモデル。1秒間に60秒分の音声を生成できる速さを持ち、カスタムボイスの作成にも対応。料金は$22/100万文字から。
- MAI-Image-2:テキストや画像から画像を生成するモデル。テキスト入力は$5/100万トークン、画像出力は$33/100万トークン。
MAI-Image-2は3月19日にテスト環境の「MAI Playground」で先行公開されていましたが、今回すべてのモデルがMicrosoft Foundryでの正式提供となりました。
競合より安価な価格で差別化
MAIチームが強調するのは、価格競争力です。GoogleやOpenAIの同種モデルと比較して安価な料金設定にすることで、差別化を図っています。
AIモデルの市場は急速に飽和しつつあり、性能だけでの差別化が難しくなっています。特にクラウド経由で利用する企業にとって、コストは導入判断の大きな要素です。Microsoftは自社インフラとの統合によるコスト削減を武器に、AWS・Google Cloudと直接ぶつかる戦略を取っています。
Microsoft FoudryはAzureのAI開発プラットフォームで、企業がAIモデルを選んでアプリケーションに組み込むためのサービスです。自社モデルをここに加えることで、サードパーティのモデルに依存せずに一貫したサービスを提供できるようになります。
OpenAI依存からの脱却が加速
MicrosoftとOpenAIの関係は、2023年の大型出資以来、密接なパートナーシップとして知られてきました。しかし近年、Microsoftは自社モデルの研究開発に積極的に投資しており、今回の発表はその成果のひとつです。
2025年にはすでにPhi-4シリーズ(小型言語モデル)をリリースしており、大規模モデルの内製化は今回のMAIシリーズが初めてとなります。音声・画像という実用性の高い領域を先に押さえたことで、法人向けのAIサービス全体を自社で完結させる道筋が見えてきました。
Microsoftのナデラ CEOは以前から「AIはコモディティになる」と発言しており、高品質なモデルを安価に提供できる体制を整えることが同社の長期戦略の中心にあります。今回の3モデル公開は、その戦略が具体的な形になりはじめていることを示しています。
まとめ
Microsoftが音声認識・音声生成・画像生成の3モデルをMicrosoft Foundryで公開しました。設立6ヶ月のMAI Superintelligenceチームが開発し、競合より安価な価格設定を武器に市場へ参入します。OpenAIへの依存を減らしながら自社AI基盤を強化するMicrosoftの動きは、今後もさらに加速していきそうです。企業向けAIサービスの主導権をめぐる競争は、新たな局面を迎えています。