厚労省【介護DX補助金】が今夏開始へ。介護情報基盤対応を支援

介護分野のデジタル化を後押しする「介護DX補助金」が、2025年夏より申請受付を開始する。厚生労働省が社会保障審議会・介護保険部会で示した資料によると、事業規模は約50億円。介護情報基盤の本格稼働を見据え、全国の介護事業所や医療機関を対象に導入環境の整備を支援する。
◆概要
項目 | 内容 |
---|---|
事業名 | 介護DX補助金(介護情報基盤対応支援) |
予算規模 | 約50億円(令和7年度予算) |
対象者 | 介護事業所(居宅・施設等)、医療機関 |
補助対象経費(介護事業所) | – マイナンバーカード読み取り機(カードリーダー) – セキュリティ対策ソフト- クライアント証明書導入・端末設定など |
補助対象経費(医療機関) | 主治医意見書を電子送信可能にする電子カルテ・文書作成ソフトの改修費 |
補助方式 | 事業所単位(サービス種別ごと)で上限額設定新設ポータルサイト経由で申請受付 |
開始時期 | 2025年夏頃(令和7年夏) |
関連施策 | 2026年度から介護情報基盤が順次稼働、2028年度全国展開予定 |
【参考】厚生労働省:第118回社会保障審議会介護保険部会の資料について
補助金の背景
2026年度から順次稼働予定の「介護情報基盤」は、要介護認定情報やケアプラン、LIFEデータなどを電子的に共有する全国的な仕組みだ。これにより紙やFAXを介したやり取りが減り、事務負担の軽減とサービスの質向上が期待されている。
一方で、介護事業所や医療機関が基盤を活用するには、カードリーダーやセキュリティソフト、クライアント証明書などの導入が必要になる。初期費用が負担となる中小事業所も多いため、国が支援策を設けることになった。
補助対象と内容
厚労省資料によると、補助金の対象は以下の通り。
- 介護事業所
- マイナンバーカード読み取り機器(カードリーダー)
- セキュリティ対策ソフト
- クライアント証明書導入や端末設定などの技術支援
- 医療機関
- 主治医意見書を電子送信できるよう、電子カルテや文書作成システムの改修費
補助は「事業所単位(サービス種別ごと)」に上限額を設定し、専用ポータルサイト経由で申請を受け付ける仕組みになる予定だ 。
事業開始時期とスケジュール
- 2025年夏頃:補助金の申請受付を開始
- 2026年度以降:準備が整った自治体から介護情報基盤が稼働
- 2028年度:全国すべての市町村で本格運用を目指す
この補助金は、介護情報基盤の稼働に向けた「初動支援」と位置づけられ、事業所が早期にデジタル環境を整備できるよう後押しする。
現場の期待と課題
介護業界からは「初期投資の負担軽減になる」と歓迎の声がある一方、補助額の水準や申請手続きの煩雑さに不安も残る。また、自治体のシステム標準化が遅れるケースも想定されており、円滑な導入には国と自治体、事業者の連携が欠かせない。
まとめ
介護DX補助金は、介護現場におけるデジタル化の“呼び水”となる重要な施策だ。今後、厚労省や国保中央会が開設するポータルサイトで具体的な申請要領が公表される見通し。介護事業者や医療機関は、早めに導入機器の選定や体制整備を進めておくことが求められる。