広島銀行、生成AIで【営業準備を7割削減】顧客エンゲージメント強化へ
広島銀行が、営業活動の準備に生成AIを導入しました。AIが顧客情報や過去の会話を分析し、雑談のきっかけから金融商品の提案までを自動で作成。行員はAIが生成したトーク案をもとに面談を行うことで、準備時間を約7割削減できる見込みです。
◆この記事のポイント
- 広島銀行が営業トーク準備に生成AIを導入
- 雑談から商品提案までをAIが自動生成
- 準備時間を7割削減、営業効率を大幅改善
- 2026年2月に本格導入予定
- AIを“人の力を補うツール”として活用し、顧客との信頼関係を強化
【出典元】広島銀行、営業トーク準備をAIで7割時短 雑談から商品提案まで
営業準備の負担をAIが軽減
ひろぎんホールディングス傘下の広島銀行では、営業担当者が1日あたり約30人の顧客とやり取りしています。
これまで行員は、顧客の資産状況や趣味、過去の面談内容などを確認し、話題や提案を自ら整理していました。
新たに導入された生成AIは、
- 顧客ごとの資産・取引・趣味データを自動収集
- 過去の会話内容をもとに関心分野を抽出
- 雑談のきっかけから商品提案につながるトーク案を生成
といった流れで、営業前の準備を効率化します。これにより、行員はより多くの顧客と対話できるようになり、営業の質とスピードを両立できるようになります。
雑談から自然に商品提案へ
AIが作成するトーク案は、顧客との関係を深める雑談から始まります。
【例】
- 「先日お話しされていたキャンプはどうでしたか?」
- 「旅行がお好きでしたら、積立型の投資プランはいかがでしょうか?」
このように、AIは顧客の興味・ライフスタイルに合わせた自然な会話の流れを作り出します。営業担当者はその提案を参考に、よりパーソナライズされた対話を行えるようになります。
2026年に本格導入予定
現在、広島銀行の営業トーク生成AIは概念実証(PoC)段階にあります。本格的な導入は2026年2月を予定しており、営業現場での実用化に向けた検証が進んでいます。
ひろぎんホールディングスは、AIを業務の一部として自然に使える環境づくりを目指しています。
つまり「AIを使うために操作する」のではなく、業務フローにAIを組み込み、意識せずにAIが支援してくれる仕組みを構築する方針です。
AIで変わる「人×テクノロジー」の営業スタイル
広島銀行が目指すのは、効率化だけにとどまらない“人とAIの協働”です。
AIが顧客データをもとに話題や提案を整理し、行員がその情報を踏まえて会話を深めることで、より信頼性の高い対応を実現します。
人の判断力とAIの分析力を組み合わせることで、営業そのものの質を底上げする狙いです。
今後は、次のような機能拡張も見据えています。
- 面談内容の自動要約
- 次回提案の自動生成
- 顧客管理システム(CRM)との連携強化
これらが実現すれば、AIが営業活動全体を支える存在となり、地方銀行の営業スタイルを大きく変える可能性があります。
まとめ
広島銀行は「人の営業力×AIの支援力」を掲げ、営業トーク作成や面談準備を生成AIに任せることで、行員がより多くの顧客対応に集中できる体制を整えました。AIの自然な提案力は地域金融の営業を一変させる可能性があります。
また、稟議書作成支援AIの導入に続き、面談内容の自動要約など適用範囲を拡大中。これらは単なる効率化を超え、日常業務にAIを溶け込ませる“実践型DX”の先駆例として注目され、AIと人の温かみを両立する今後の金融サービスの指針を示しています。