TypeScriptが世界1位へ。理由は「AIが最もコードを書きやすいから」
世界中のプログラマーが集まる巨大プラットフォーム「GitHub」が、2025年の最新レポート「Octoverse」を発表しました。そこで明らかになったのは、長年王者として君臨していたPythonやJavaScriptが王座を明け渡すという、歴史的な大逆転劇です。
なぜ今、TypeScriptが世界で最も使われる言語になったのか?その背景には、私たちの想像を超える「AIと人間の新しい関係」がありました。
【出典元】Octoverse: AI が TypeScript を世界第 1 位に導き、GitHub に毎秒新しい開発者が参加
ついにPython超え!TypeScriptが「世界No.1」言語へ
2025年8月、プログラミング界に衝撃が走りました。GitHub上で活動する開発者の数(貢献者数)において、TypeScriptが初めて単独1位に輝いたのです。
これまで、AI開発やデータ分析のブームを背景にPythonがトップを走り、Web開発の標準であるJavaScriptがそれを追う展開が続いていました。しかし、TypeScriptはこの1年で66%という驚異的な成長を記録。これら2つの巨人を一気に抜き去り、名実ともに「世界で最も選ばれる言語」の座を射止めました。
なぜTypeScriptなのか?AIが好む「型」の魔法
なぜこれほど急激にTypeScriptが伸びたのでしょうか?その最大の理由は、「生成AIとの相性の良さ」にあります。
GitHub CopilotをはじめとするAIコーディング支援ツールは、今や開発に欠かせない相棒です。実はAIにとっても、ルールが緩やかなJavaScriptよりも、データの形(型)がきっちりと決まっているTypeScriptの方が指示を理解しやすく、ミスのないコードを書きやすいのです。
- 人間にとって: エラーを未然に防ぎ、大規模な開発でも安心して進められる。
- AIにとって: 文脈を正確に読み取り、高品質なコードを提案できる。
「AIにコードを書かせるとき、TypeScriptの方がうまくいく」。現場のエンジニアたちがこの事実に気づき始めたことが、今回の順位変動の決定打となりました。
1秒に1人が参加!爆発する世界の開発者人口
GitHubの成長は言語の変化だけにとどまりません。現在、世界中で「1秒に1人」という驚くべきペースで、新しい開発者がGitHubに参加しています。
| 成長著しい地域 | 特徴 |
| インド | 米国を抜き、世界最大の開発者大国になる勢いで急成長中 |
| ブラジル・インドネシア | 若い世代を中心に、初めてコードに触れる層が激増 |
かつては一部の専門家のものだったプログラミングが、スマホを持つ世界中の人々にとって身近なスキルへと変わってきているのです。
AIはもはや「標準装備」の時代へ
新しくプログラミングを始める人々のスタイルも、以前とは全く異なります。
レポートによると、GitHubに新しく登録したユーザーの約80%が、最初の1週間以内にAIツール(Copilot)を使用しているとのこと。教科書を片手に一から文法を覚えるのではなく、最初からAIという「先生」兼「パートナー」と一緒にモノ作りを始めるのが当たり前になっています。
まとめ
2025年のGitHubレポートが示したのは、単なるプログラミング言語の人気投票ではありません。「AIが開発の主役になったことで、人間が選ぶ道具(言語)も変わり始めた」という大きな時代の変化です。
AIに指示を出しやすく、人間にとっても扱いやすいTypeScript。この言語がNo.1になった事実は、私たちが「AIと共存する開発スタイル」へと完全にシフトしたことを証明しているのかもしれません。