OpenAI「company knowledge」発表 GPT-5が企業データを横断活用

OpenAI「company knowledge」発表 GPT-5が企業データを横断活用

【画像】Aibrary公式Pinterest

OpenAIは10月23日(米国時間)、ChatGPTのBusiness・Enterprise・Educationプラン向けに新機能「company knowledge」を発表しました。SlackやGoogleドライブなど社内に分散する情報を横断的に検索し、業務に特化した回答を生成する機能です。
OpenAI幹部は「仕事のための仕事をなくす」と述べ、AIが業務効率化の中心的役割を担う未来を示しました。

【company knowledge 要点まとめ】

  1. OpenAIがChatGPTに新機能を追加
     企業プラン向け「company knowledge」を発表(2025年10月23日)。
  2. 社内ツールを横断して検索・回答
     Slack、Googleドライブ、SharePointなどから情報を集約し、GPT-5が業務に特化した回答を生成。
  3. “仕事のための仕事”を削減
     情報探しやツール切り替えをAIが代行し、社員は本来の業務に集中できるように。
  4. connectors機能と連携
     外部アプリとリアルタイムで接続し、常に最新データを分析・要約。
  5. 安全設計と信頼性確保
     ユーザーデータは学習に利用されず、暗号化・組織管理下で保護される。

ChatGPTが企業の「知識ハブ」に

company knowledgeは、企業が持つ膨大なナレッジを活用しやすくするための仕組みです。
社員がアクセスできる社内データ(Slackのやり取り、Googleドライブのファイル、GitHubのコード、SharePointの資料など)をChatGPTが横断的に検索・理解します。

ユーザーが質問を投げかけると、ChatGPTがこれらの情報をもとに最適な回答を生成し、参照した情報源へのリンクも表示します。これにより、回答の透明性と信頼性が確保されます。

「work around work」をなくす狙い

OpenAI幹部は発表時に、「多くの仕事は“work around work”つまり、仕事のための仕事に費やされている」と指摘しました。
複数のシステムを行き来したり、情報を探したり、ツールをつなぎ合わせたりする作業が、実際の生産的な仕事を圧迫しているということです。
company knowledgeは、こうした非効率な作業をAIが代行し、ユーザーが本来の業務に集中できる環境を目指しています。

Connectorsとの連携でリアルタイム情報活用

この機能を支えているのが、2024年6月に発表された「connectors」です。
connectorsは、ChatGPTがGoogleドライブやSlack、GitHub、SharePointなどの外部アプリと接続し、ライブデータを取得できる仕組みです。
company knowledgeはこのconnectorsと統合されており、GPT-5がリアルタイムで最新情報を分析・要約します。
これにより、ドキュメントの更新やチームの進捗を即座に把握できるようになります。

実際の利用例と業務変革の可能性

OpenAIは利用例として、クライアントとの会議ブリーフィングの自動生成を紹介しています。
ChatGPTはSlackの社内メッセージ、クライアントとのメール内容、Googleドキュメントのメモ、Intercomのサポート履歴などを参照し、会議前に必要な情報をまとめた資料を作成できます。

また、「企業目標はどこに着地したか?」といった抽象的な質問に対しても、関連する複数の情報源を横断的に分析し、議論の内容を要約して提示します。
矛盾する情報を整理し、異なる視点を並列して提示することで、より立体的な情報理解をサポートします。

セキュリティとプライバシー設計

OpenAIは、Business・Enterprise・Educationプランでのデータ取り扱いについて、「ユーザーデータはモデルのトレーニングには使用されない」と明言しています。
すべてのデータは業界標準の暗号化によって保護され、組織の管理下に保持されます。AIが扱う情報の安全性と企業データの独立性を両立させる設計は、企業導入を後押しする重要なポイントです。

まとめ:AIが組織知をつなぐ新時代へ

OpenAIのcompany knowledgeは、社内に点在する情報を統合しAIが「組織の知識の橋渡し」を担う仕組みです。
従来は人が行っていた情報整理や文脈の把握をAIが代替することで、意思決定のスピードと精度が大きく向上します。
AIが単なるアシスタントではなく、企業知を結びつけるハブとして機能する時代が、いよいよ現実になりつつあります。

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