『Perplexity at Work』より、良いプロンプトの作り方【実践例と活用法】
AIとのやり取りで「求めていた答えと違う」と感じたことはありませんか?その多くは“AIの性能”ではなく、“質問の設計=プロンプト”に原因があります。
Perplexity公式ガイド「Perplexity at Work」では、AIを単なる検索ツールではなく、戦略的なチームメンバーとして活用するための考え方と手法が紹介されています。
【出典元】『Perplexity at Work: A Guide to Getting More Done』
プロンプト設計の基本原則
Perplexityが提示する最初のステップは「思考を声に出すこと」。AIに命令するのではなく、「自分が何を達成したいのか」「どんな成果物が必要か」を明確に共有することが鍵です。
- ゴールから始める
AIを検索エンジンのように扱わず、目標を伝えることから始める。 - 具体性を高める
目的・条件・形式を明確にすると結果の精度が上がる。
効果の薄い例:「メールを手伝って」
効果的な例:「過去3日間の未返信メールを整理して、返信案を作成して」 - 文脈を活用する
@tabなどの機能で参照元を指定し、比較や要約を正確に行う。 - 多段階ワークフローを構造化する
複雑な作業をステップに分けると、AIの理解が深まり正確性が向上する。 - 戦略的実行を促す
AIを有能なチームメンバーと見立て、背景・目的・期待する成果を共有する。 - Comet Agentの活用
「私のブラウザを制御して…」といった命令形で始めると、操作レベルの自動化も可能。
Comet Assistant ― 情報理解を支援するサイドバーAI
「Comet Assistant」は、Webブラウジング中の情報を整理・理解するサポートAIです。文書の要約や翻訳、ファクトチェック、意見の整理など、知的作業を強力に支援します。
| 用途 | プロンプト例 |
|---|---|
| 法的レビュー | 「この契約書を分析し、潜在的な法的懸念事項を強調して。」 |
| 動画の要約 | 「この動画で言及されているすべてのリンクと詳細な要約を提供して。」 |
| コンテンツ生成 | 「この記事に基づいて10個の投稿アイデアを出して。私の声(トーン)で作成されていることを確認して。」 |
| 意見の調査 | 「このニュース報道に関する他の視点にはどのようなものがある?一般的なテーマをいくつか要約して。」 |
| 社内コミュニケーション | 「今日受信したSlackメッセージの中で、『プロジェクトAI』に言及しているものをすべて読んで要約して。」 |
| アウトバウンドメール改善 | 「私の送信メールを分析し、返信率が高かった要素と改善提案をまとめて。」 |
Assistantは“知る・理解する”領域に特化しており、調査・学習・情報整理を自動化するのに最適です。
Comet Agent ― 実行型AIで業務を動かす
Comet Agentは「行動するAI」として、タスク実行やワークフローの自動処理を担います。メールの整理からフライト予約、購買まで、ブラウザ操作を伴う業務も実行可能です。
| 用途 | プロンプト例 |
|---|---|
| 複雑な調査/比較 | 「[トピックを挿入]に焦点を当てた最新の学術論文を見つける。次に、それらをそれぞれ新しいタブで開く。最後に、研究方法論と結果を分析した比較表を作成して。」 |
| メール処理 | 「過去3日間に届いた未回答のメールの中で返信が必要なものをすべて見つけ出し、簡潔な返信文案を作成して。カレンダーの招待は無視して。」 |
| タブ管理 | 「タブをトピックごとにグループ化し、現在のプロジェクトに関係のないものをすべて閉じて。」 |
| 採用活動 | 「このウィンドウで開かれている求人リストに私の履歴書で応募して。」 |
| 購買/ロジスティクス | 「Amazonを見て、しばらく注文していない消耗品を見つけ出し、オフィスの住所に発送するように手配して。」 |
Agentを使うことで、AIが“提案する”だけでなく、“実際に動く”段階へと進化します。
ワークフロー自動化 ― 繰り返し業務をプロンプトで制御
Perplexityでは、日常的な業務をプロンプトで自動実行できる機能として「Comet Shortcuts」と「Perplexity Tasks」を提供しています。これにより、レポート作成やチーム調整といった定型業務をAIが代行できます。
Comet Shortcuts(ショートカット)
| ショートカット名 | プロンプト例 |
|---|---|
| /client-followup | 「[クライアント名]との直近3回のやり取りを確認し、アクションアイテムを特定してフォローアップをスケジュールして。」 |
| /schedule-team-meeting | 「来週の製品チーム全員の空き状況を確認し、会議候補を3つ提案して、議題テンプレート付きで招待を送って。」 |
| /weekly-status | 「Asanaからプロジェクト状況を、HubSpotから営業進捗を、カレンダーからチームの予定を取得し、要点をまとめた役員向け週次報告を作成して。」 |
Perplexity Tasks(タスク)
| タスク名 | プロンプト例 |
|---|---|
| パーソナル日次/週次ニュースレター | 「メール、カレンダー、主要ツールから重要事項をまとめ、業界ニュースと併せて日次レターを生成して。」 |
| 週次競合分析 | 「競合他社の最新リリース、ニュース、顧客感情、LinkedIn上の動向を分析して報告して。」 |
| EUにおける新しいAI規制 | 「毎朝、欧州連合で発表された新しいAI法案と関連訴訟をリストアップして。」 |
研究・戦略策定 ― 分析と意思決定を支援
AIはリサーチや戦略立案にも活用できます。Perplexityでは、企業分析・市場調査・データ解析などをAIがサポートします。
| 用途 | プロンプト例 |
|---|---|
| 市場/競合分析 | 「エンタープライズAI自動化市場を分析し、主要プレイヤー、市場予測、規制リスク、新興競合をまとめて。」 |
| データ分析 | 「第3四半期の売上データを分析し、地域別と製品別に傾向を可視化。第4四半期に向けた改善提案を出して。」 |
| 規制遵守 | 「EU・APAC地域におけるデータプライバシー規制を調査し、実施時期と企業対応を整理して。」 |
| 文書検索/取得 | 「Notion内の最新ロードマップ資料と、先週のレビュー会議フィードバックを探して。」 |
Labsでのコンテンツ制作 ― 企画を形にするAIワークフロー
「Labs」では、アイデアや下書きをもとにAIが構成・文章化を行うクリエイティブ機能を提供。企画段階から完成までを一気に自動化できます。
| 用途 | プロンプト例 |
|---|---|
| プレゼンテーション作成 | 「戦略セッションのメモから、第3四半期の成果と課題、第4四半期の目標をまとめた経営報告プレゼンを作成して。」 |
| クライアント提案書 | 「提案書のアウトラインから、タイムライン、価格、チーム構成を含む正式な提案書を作成して。」 |
| 社内コミュニケーション | 「進捗ノートをもとに、チーム全体向けのアップデート資料を作って。メール配信用とプレゼン用の両方で出力して。」 |
Spaces ― 組織の声をAIに学習させる
Perplexity Spacesでは、AIが組織のトーンやブランド方針を理解する「カスタム指示(Custom Instructions)」を設定できます。
これにより、生成されるすべてのコンテンツが一貫した表現・品質・専門性を保つことができます。
パフォーマンスと事業開発 ― 戦略的な意思決定を支援するAI
業務改善や営業戦略にもAIを活用可能です。Perplexityでは、データ分析からアウトリーチまで一連のワークをプロンプトで制御できます。
| 用途 | プロンプト例 |
|---|---|
| パターン分析 | 「プロジェクト管理データとカレンダーから活動パターンを抽出し、効率的・非効率的領域を特定して。」 |
| パフォーマンスレポート生成 | 「成果・スキル・成長要素を整理した業績レビューを作成して。具体的な数値と改善提案を含めて。」 |
| 潜在顧客分析 | 「[会社名]の財務・戦略・競合情報をまとめ、課題と潜在的ニーズを特定して。」 |
| パーソナライズされたアウトリーチ | 「[潜在顧客名]宛に、最近の事業展開を踏まえた提案メールを作成して。」 |
| ダッシュボード作成 | 「売上データの勝敗分析ダッシュボードを作成し、傾向と地域別分析を可視化して。」 |
まとめ
Perplexityの考える「良いプロンプト」とは、AIに命令する言葉ではなく、共に考えるための設計図です。
目的・背景・文脈・手順を明示することで、AIは単なる情報処理ではなく、意思決定を支援する“知的パートナー”として機能します。業務の自動化だけでなく、戦略・創造・分析を共に担うための新しい使い方が、ここにあります。