Anthropic、売上が3倍に急増

Anthropic、売上が3倍に急増

Anthropicは2026年4月7日、同社の年率売上高が300億ドル(約4.5兆円)を突破したと発表しました。2025年末時点では約90億ドルだった売上高が、わずか3ヶ月で3倍以上に拡大したことになります。
急増する需要に対応するため、GoogleおよびBroadcomと3.5ギガワットのTPU(テンソル処理ユニット)計算資源を2027年から確保する大型契約も締結しました。

【出典元】Anthropic ups compute deal with Google and Broadcom amid skyrocketing demand

3ヶ月で売上が3倍超になった背景

Anthropicの急成長を数字で見ると、その規模の大きさが際立ちます。2025年末時点での年率売上高は約90億ドルでしたが、2026年4月時点では300億ドル超に達しました。期間にしてわずか3〜4ヶ月間での3倍増です。

成長を牽引しているのは、企業顧客の急増です。年間100万ドル(約1億5,000万円)以上を支払う大口顧客は、2026年2月のシリーズG調達完了時点では500社超でしたが、4月時点では1,000社超に倍増しています。大企業・金融機関・医療機関など、Claude APIをビジネスの中核に組み込む動きが急加速していることを示しています。

AnthropicのCFOは今回の契約について「これまでで最も重要な計算資源へのコミットメント」とコメントしており、今後の事業拡大への強い自信を示しています。

3.5GWのTPUを2027年から確保

計算資源の確保は、AI企業にとって今や事業継続の根幹をなす課題です。Anthropicは今回、GoogleとBroadcomとの間で3.5ギガワットのTPU容量を2027年から供給してもらう契約を締結しました。

比較として、現在Anthropicが確保しているGoogle TPUの容量は1ギガワットです。2027年には現在の3.5倍以上の計算資源を手にすることになります。「ギガワット」というのは電力量の単位ですが、AI計算においてはデータセンター全体の消費電力規模をそのまま計算能力の指標として表します。

この契約でBroadcomが重要な役割を果たしています。同社はGoogleとAnthropicの間に入り、Google製のカスタムTPUチップをAnthropicへ供給する仲介者として機能します。Broadcom単体で見ても、2026年のAnthropicからのAI関連収益は210億ドル、2027年には420億ドルに達すると試算されており、両社の関係の深さが伺えます。

Amazon・Google・NvidiaでリスクをAI分散

Anthropicの計算資源戦略で特徴的なのは、特定ベンダーへの依存を避けている点です。現在Claudeは以下の3つのハードウェア基盤で動作しています。

  • Amazon Trainium:Amazonが開発した独自AIアクセラレーター。Amazon Web Servicesを通じて利用
  • Google TPU:今回の契約で大幅に拡大。GoogleのTPU設計はAI訓練・推論の両方に最適化されています
  • Nvidia GPU:AI業界で最も普及したハードウェア。汎用性が高く既存の開発環境との互換性が高い

この分散調達により、どれか1社の供給が滞っても事業を継続できる体制が整っています。また複数のベンダーと交渉できるため、価格面での交渉力も維持できます。

Anthropicは2025年11月に米国内のAIインフラへ500億ドルを投資する方針を表明しており、今回の契約はその一環として位置づけられます。新たなTPU容量も原則として米国内に設置される予定です。

OpenAIやGoogleとの差はどこにあるか

300億ドルという年率売上高は、依然としてOpenAIの250億ドル超を上回る水準です。ただしOpenAIはChatGPTという消費者向け製品を抱えており、個人ユーザーと法人顧客の両方を対象としています。一方Anthropicは法人・API利用に特化しており、エンタープライズ市場での存在感が急速に高まっています。

GoogleはGeminiを中心に自社サービスへのAI統合を進めており、APIを外部提供しながら自社製品の強化にも注力しています。Anthropicとは「Googleがインフラを供給しながら、Claudeの開発で競合する」という複雑な関係が続いています。

まとめ

Anthropicの年率売上高が300億ドルを突破し、わずか3ヶ月で3倍超の急成長を遂げました。Google+BroadcomとのTPU 3.5GW契約は、2027年以降のさらなる事業拡大を見据えた布石です。大口企業顧客が1,000社超に倍増したことも、Claude APIが法人市場で定着しつつあることを示しています。AI業界のインフラ競争が一段と激しくなる中、Anthropicの動向は今後も注目が集まりそうです。

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