クラウドサイン、AIで回答レビューを効率化 「CRE HelpDesk Reviewer」導入事例

クラウド契約サービス「クラウドサイン」を運営する弁護士ドットコムが、顧客対応部門CREチームにAIレビュー支援ツール「CRE HelpDesk Reviewer」を導入しました。
従来は人力に頼っていた回答レビューをAIが代替することで、業務効率と品質の両立を実現した取り組みとして注目されています。
【参照元】ヘルプデスク回答のレビュー観点18項目を瞬時にチェック!CRE向けレビューAIをDifyで構築してみた
AI導入の背景
CREチームは、顧客からの技術的な問い合わせに誤った情報を返さないよう、回答案をメンバー同士でレビューしてきました。しかし、次のような課題が存在していました。
- チェック観点が多く、時間がかかる
- レビュアーごとに差があり、見落としが生じる
- 新メンバーにはレビュー項目の習得が難しい
こうした状況を改善するため、社内ナレッジ検索システム「Deborah」(Dify × Amazon Bedrock × GPT-5)を基盤に、AIレビュー機能を追加したのが「CRE HelpDesk Reviewer」です。
AIが担うレビュー内容
回答文を入力すると、AIが即時にチェックを実施。以下のような観点で自動的に指摘や改善提案を行います。
- 誤字脱字や敬語の適切性
- 文面のわかりやすさや結論ファーストの構成
- クラウドサイン独自の「ユビキタス言語」に基づく用語統一
- 顧客が次に取るべき行動が明確かどうか
- 関連ヘルプ記事のURLを提示
さらに、指摘を反映した修正版の回答案まで生成されるため、メンバーはすぐに改善結果を確認できます。
導入後の効果と工夫
チームからは「用語チェックが便利」「関連リンクを自動で出してくれるのが助かる」といった声が上がり、レビューの効率化と品質向上が進みました。
また、AI特有のリスクである“ハルシネーション”対策として、以下のルールも設けています。
- 参考リンクは社内ナレッジのみから抽出
- 根拠が不明な場合は「不明」と表示
- 推測での回答は禁止
これにより、回答の信頼性も担保できる仕組みとなりました。
今後の展望
一部では「用語チェックが漏れるケースがある」とのフィードバックもあり、今後はプロンプト改善やナレッジ記事の拡充を進める方針です。
今回の取り組みは、AIを活用してレビュー業務を効率化しつつ品質を維持する好事例といえ、他社にも参考になる仕組みとなりそうです。