AIが配送ルートを最適化。能勢鋼材が大学と共同開発

鋼材の加工・販売を手がける能勢鋼材株式会社は、滋賀大学とディナレッジ株式会社と共同で、AIを活用した「配送自動最適化ツール」を開発した。複数のトラックに割り当てる配送ルートの作成を自動化し、作業時間を大幅に短縮したという。
【参照】
https://www.kankeiren.or.jp/iot/list.html
https://www.kankeiren.or.jp/iot/pdf/iot81.pdf
複雑な配送計画の課題
同社では、納品時の配送ルートを作成する際に、
- 1台あたりの配達件数や距離
- 最大積載重量
- 割り込みや追加受注への対応
といった条件を同時に考慮する必要があった。従来は配車担当者に大きな負担がかかり、精神的ストレスや属人化が避けられなかった。
AIが導き出す最適ルート
導入したツールは、積載制限や配送時間を考慮しつつ、最短ルートを自動で算出。結果として合計走行距離を50km以上削減でき、配送コストとCO₂排出量の両方を抑える効果が確認された。これにより、配車作業の効率化と環境負荷の軽減が同時に実現した。
成功のポイント
同社は大学任せにせず、実務担当者が研究に参加。社員が大学院に進学するなど、アルゴリズムへの理解を深めたことが、開発の成功につながったという。
今後の展望
同社は、2024年問題とされる物流業界の人手不足に備え、共同配送やシェアリングの実現を目指す方針だ。また、この最適化ツールを他社にも展開し、幅広い企業の課題解決につなげたい考えである。
まとめ
AIを活用した配送ルート最適化は、作業効率の改善だけでなく、環境負荷の低減や業界全体の課題解決にも寄与する可能性がある。能勢鋼材の取り組みは、今後の物流におけるモデルケースとなりそうだ。